【インタビュー】介護タクシー・民間救急ドライバーの仕事とは?

ドコケアの民間救急に携わっているスタッフの人となりや現場の雰囲気を知っていただきたいーーそんな思いから、今回ドライバーの古賀さんに広報担当が密着取材してまいりました。介護のプロならではの利用者さまへの心遣いや、ドライバーとしてドコケアに参画したときの思いなどを感じ取っていただけると思います。どうぞご覧ください!

古賀さん、今日は実際の搬送業務にご一緒させていただけるとのことですが、どんなお仕事になりますか?

今回は退院する利用者さまを自宅までお送りする業務になります。車椅子に乗ったままご乗車いただいて、迎えに来られているご家族と一緒にご自宅までお送りしようと思います。

器具の固定状況を確認するなど、準備に余念がない古賀さん

出発時刻は10時と伺っていましたが、今はまだ9時30分です。かなり余裕を持って到着されるのですね。

そうですね、朝は道路が混むこともあるし、大きな病院の場合は駐車スペースを探したり、病棟に行って担当の職員さんと打合せをしたりと、意外に時間がかかることもあるんです。利用者さまを時間通りにお迎えするためには、このくらいの余裕をもった方がいいなと。

利用者さまをお待たせしないための工夫なのですね。

もちろんそれが一番です。加えていえば、患者さんを送り出す病院のスタッフさんへの配慮でもありますね。彼らも退院する患者さんを送り出したあとは、すぐに次の患者さんを受け入れる準備などの業務がありますので。そろそろ時間ですので、利用者さまを迎えにいきましょう。

ーー病棟に上がり、担当の職員さんからの申し送りが済んだところで、利用者さまがいらっしゃいました。ご挨拶の後も「ゆうべはよく眠れましたか?」などと声をかけ、利用者さまの様子を気遣う古賀さんの姿が印象的でした。利用者さまとご家族が安全に乗車されたのを確認して、いよいよ出発です。

利用者さまの安全を確かめながらリフトを操作する古賀さん

運転中に心がけていることはありますか?

安全運転は言うまでもないですが、このバックミラーで利用者さまの様子を常に気にかけています。穏やかな表情で過ごされているか、首がうなだれていたり具合が悪そうな様子はないか。なかなかご自分で意思表示されない方もいますので、些細な変化でもなるべくこちらで気づいてあげられればと。エアコンの温度も、人によって感じ方が違いますよね。それも時々声をかけて調節しています。あとは、これかな。

BGMですね。古賀さんが選曲されているんですか?

選曲と言うほどではないけど、心が落ち着くクラシック曲のプレイリストを探してきたりして。信号待ちで会話も途切れて、みたいなタイミングがどうしてもあるので、そこに音楽があると車内の空気が穏やかになるんですよね。会話が弾んでいるときはボリュームを下げて、会話が途切れたらボリュームを少し上げたりして。

ーー古賀さんの細やかな心遣いに感心するうちに、車は目的地に近づいてきました。利用者さまはご家族との会話にも元気に受け答えされるなど、穏やかに移動時間を過ごされたようでした。

無事ご自宅に到着しましたね。この後はどういった流れになりますか?

ご自宅の玄関を上がる際に段差があるようなので、私がお手伝いしてお部屋まで案内しようと思います。利用者さまは短い距離なら自立歩行もできると伺っていますので。

ーー古賀さんは電動リフトで車椅子に乗った利用者さまを降車させると、玄関前まで車椅子で移動したあと、利用者さまに手を添えてお部屋まで歩行のお手伝いをされました。利用者さま本人はもちろん、ご家族も無事に帰ってこられたことを大変喜んでおられました。

おつかれさまでした。古賀さんは介護福祉士の資格をお持ちですよね。先ほどのご自宅での対応など、その経験が活きたのではないですか?

そうですね、この仕事は運転以外のところでどれだけお役に立てるかで、利用者さまやご家族の印象が違ってくるように思います。さっきの歩行のお手伝いのような場面で介護職としての経験を活かせて、その結果喜んでいただけると、こちらとしても嬉しいです。いいタイミングで取材に来てくれましたね(笑)

ホントですね(笑)古賀さんの利用者さまへの心遣いを見ていると、さすが介護のプロだなと感じます。介護のお仕事もご経験は長いのですか?

私はまだ介護の仕事を始めて5年目なので、そんなに長いわけではないです。初めは病院で看護助手として働いて、その後有料老人ホームの介護職に変わって、そこでの実務経験を土台にして介護福祉士の資格を取りました。

病院や老人ホームではどんなお仕事をされていましたか?

私はどちらの職場でも夜勤専従といって、夕方から翌朝まで泊まり込みのシフトだけに入っていましたから、仕事は夜中に定時の排泄をされる方のお手伝いや、眠れない方の見守りやお話相手などが多かったですね。そういうわけなので、昼間のお出かけとか、活動される方のお手伝いをするようになったのは、ドコケアのドライバーになってからなんです。

なるほど。そうなると、ドコケアのドライバーになろうと決めたときは、どんな思いだったのでしょうか。

同じ介護職でも、これまでと違った仕事をしてみたいという思いはありましたね。介護の仕事は利用者さまの生活のあらゆる場面に関わってきますし、そういう意味では自分がしてきた仕事はほんの一場面にしか関われていないなと。本当は介護の仕事は、もっと終わりがないくらい広がりがあるはずだと感じていたので、ある意味今までとは真逆の、昼間の利用者さまを支える仕事についてみたいと思っていました。

実際にドライバーの仕事を始めてみて、いかがですか?

まだドコケアの搬送事業自体が始まったばかりで、私も走りながら試行錯誤しているので、毎回至らないことばかりだなと思っていますが、件数を重ねるごとに、自分なりの仕事の型のようなものが見えてくる気がして、今は毎日充実しています。

印象に残っている現場はありますか?

記念すべき第1回目の利用者さまが、私が看護助手をしていた病院の患者さんだったんですが、実はその患者さんというのが今日の利用者さまなんです。もう一度お役に立てたということと、利用者さまが1回目より目に見えてお元気になられていたことがとても嬉しかったですね。

そうだったんですね!以前の職場の方々とこういう形で再会するというのも、嬉しいものではないですか?

本当にそうですね。勤めていた頃にお世話になった看護師長さんが覚えていてくださって。1回目に同乗してくださった職員の方にも「先日はありがとうございました」と言っていただいたり。こういうつながりは今後も大事にしていきたいですね。

ドコケアの民間救急は医療搬送に特色があるので、今後も医療機関さまとのつながりは増えていきそうですね。ドライバーとして医療搬送を行う際の心構えなどはありますか?

医療搬送の場合、ドライバーの他に医療行為を行う看護師さんが乗務されます。利用者さまを無事に目的地までお送りするためには、彼らとの連携が不可欠ですので、事前の打合せや病院側からの申し送りの際は、通常の搬送以上に密にコミュニケーションをとらせていただいています。認識のずれなどが起こらないように、チームとして一致協力して、利用者さまの命をお預かりする、という心構えが必要ですね。

ドコケアの看護師に聞きました

医療搬送に同乗する中で、古賀さんにどんな印象を持っていますか?

藤さん
藤さん

古賀さんは一つひとつの作業が丁寧で、常にもしものことを考えて早めに行動されているので、一緒に仕事をしていて安心感があります。いつも気さくで、利用者さまだけでなく私たちスタッフにも気遣い、心配りのある方なので、気兼ねなくコミュニケーションがとれて助かっています。私たち看護師は常に利用者さまの状況を第一に考えて行動していますが、古賀さんも利用者さま目線で考えて行動される方なので、目線が合わせやすいというのも看護師としてありがたいですね。

最後に、ドライバーの仕事に興味を持ってくださっている読者の方にメッセージをお願いします。

この仕事は、私のような介護職だけでなく、タクシーや旅行など、さまざまな業種から転身した方がいらっしゃいます。介護のスキルはもちろん役に立ちますが、より根幹にあるマインドは「いかに利用者さまと同じ目線に立ち、利用者さまのために行動できるか」ということではないかと思います。その気持ちが通じて、利用者さまやご家族から、他では味わえない重みをもった「ありがとう」の言葉をいただいたとき、私はこの仕事を選んで本当によかったと感じます。読者の皆さんの中に、この思いに共感していただける方がいらっしゃいましたら、ぜひチャレンジしていただきたいと思っています。

ーーいかがでしたでしょうか。ドライバーという仕事は、利用者さまの命を預かる責任や、医療搬送ならではの緊張感が伴い、決して楽な仕事ではありません。しかし古賀さんからのメッセージにもあるように、利用者さまやご家族からいただく感謝の言葉には格別なものがあります。そのような言葉を一人でも多くの利用者さまからいただけるよう、これからもドコケアは頑張ってまいります!