家族に寄り添う重症搬送                        呼吸管理が必要な長距離搬送の記録            

東京から群馬への長距離搬送で、重症筋無力症を患った利用者さんを無事に移送しました。呼吸管理が特に重要な状況の中、ご家族に安心を届けるためのスタッフの対応と、搬送中に生まれた家族との温かいエピソードをお伝えします。

今回の搬送は、利用者さんの体調管理が難しいケースでした。利用者さんは重症筋無力症を患っており、わずかな負荷で痰が絡みやすく、呼吸が困難になることもあります。夜間には人工呼吸器を使用することもあるため、長距離移動中の呼吸管理が重要な課題でした。そのため、事前に酸素の供給量を細かく調整し、バックバルブマスクなどの緊急対応機材も準備して万全の体制を整えました。

搬送前には、利用者さんの状態に合わせて必要な酸素量を確認し、最悪の事態を想定しながら看護師と共に準備を進めました。

転院準備を急いで行ったため、出発時には利用者さんは少し疲れた様子でした。普段はお着換えに2時間ほどかけて行うところを、今回はわずか10分ほどで対応したため、息が上がり、呼吸を整えるのに苦労されていたとのことです。

ドライバーは「大丈夫ですよ」と優しく声をかけ、こまめに利用者さんの表情を確認し、筆談やジェスチャーを用いてコミュニケーションを取りました。しばらくすると、酸素化が改善し、呼吸も整い、安心した様子を見せたそうです。

搬送前には、利用者さんのご家族が病院に集まり、久しぶりの再会を果たしました。家族が数名揃い、そのうちのお一人はお孫さんを連れて車まで来られました。特に感動的だったのは、お孫さんと初めて対面したときです。利用者さんにとって、孫に初めて会えたこの瞬間は大きな喜びとなり、ご家族にとっても思い出深い場面となりました。

利用者さんは声を出すことができない状況でしたが、目でしっかりとその瞬間を捉え、満足そうな表情を浮かべていたといいます。

道中は車両の揺れや振動にも細心の注意を払い、なるべく平坦なルートを選びました。看護師は常にサチュレーション(酸素飽和度)をモニタリングし、酸素の流量や頭部の高さをその場の状況に応じて調整。ドライバーも、カーブの多い道や段差のある道路を避け、搬送中の負担を軽減するよう工夫しながら進行しました。

また、ご家族も前席に同乗し、必要なときにはスタッフをサポートするなど、協力的な姿勢を見せてくださいました。リラックスした様子で、転院に至る経緯やこれからの療養についてスタッフと会話を交わしながら移動できたことは、ご家族にとっても安心感をもたらしたようです。

搬送先に到着し、移乗と酸素切り替えを終えた後、利用者さんは少し疲れていましたが、呼吸が落ち着くと、次第に安心した表情を見せていました。ご家族の方からは「本当に助かりました。ありがとうございました」と深々とお礼の言葉をいただき、利用者さんも口パクで「ありがとう」と伝え、笑顔で手を振って見送ってくださいました。

搬送を終えて

今回の搬送では、呼吸管理が特に難しいケースでしたが、事前準備とスタッフ間の密なコミュニケーションが成功の鍵となりました。ドライバーはルートの候補を複数準備し、どの道が利用者さんにとって最も負担が少なく、効率的に移動できるかを慎重に検討し、長時間の搬送を無事に終えることができました。

今後も、家族に寄り添い、安心感をより高めるサービスを提供していきたいと考えています。

まずはお気軽にご相談ください
専門的な医療搬送なら、ドコケアにおまかせください。