医療的ケア児・障害児の外出をもっと気軽に|渡辺めぐみさん(NPO法人代表)

「あなたの街のドコケアさん」では、ドコケアに登録してくださった全国各地の魅力的な介助者さんをご紹介しています。

第2弾は、障害を持って生きる子どもやその家族に対してのサポートを行なう「NPO法人福岡市笑顔の会」代表の渡辺めぐみさんです。

渡辺さんは、NPO法人の代表として活動する一方、ご自身も医療的ケア児・重度心身障害児の息子を育てるお母さんでもあります。

障害があっても外出できる世の中をつくるためのドコケアの活用アイディアを中心にお話していただきました。

参考:NPO法人福岡市笑顔の会

 

ドコケア介助者登録をしたきっかけを教えてください

ドコケアを知ったきっかけは、Facebookでした。
自分自身も医療的ケア児・重度心身障害児の息子を持つ母であり、おでかけという部分で億劫さを感じることがあるのですが、ドコケアはその億劫さを少しでも軽減して助けてくれるシステムだなと思い、興味を持ちました。

 

外出支援に対する想いを教えてください

国や地方自治体による公的支援もありますが、それには日数や外出の目的に縛りがあります。
例えば、私の住む福岡市では、公的に介助していただけるおでかけの権利は、月40時間以内と決められています。
外出の目的にも制限があります。

「自由に動けない」という制約から健常児との差を感じてしまい、もっと自由なおでかけの権利が与えられないものなのかなと思います。

時々私と息子でスーパーにお買い物に行くことがあるのですが、いつでも自由にスーパーに行けるわけではないので、まとめ買いをすることが多いです。
その際、かたや息子をバギー(こども用介助型車椅子)で押しながら、かたや大きなお買い物のカートを押していて、他のお客様にご迷惑がかからないように、縦にバギーとカートを並べてお買い物をする状況というのが、非常に大変です。
こんなときにドコケアで「1時間でもいいので手伝ってもらえないですか」というように、いつでも気軽にお願いができると助かるなと思います。
参考:公的移動支援の限界

 

「NPO法人福岡市笑顔の会」としてどのようにドコケアを活用したいですか

自分自身が息子と療育センター(障害のあるこどもに対して治療・教育を行なう施設)に通っているときに、障害児を持つ親御さんのPTAのような療育の会という組織団体で活動していました。
療育の会は満期1年だったのですが、そこで出会ったメンバーたちと「ひとりではない、孤独な育児にならない障害児の子育て」をテーマとして、NPO法人福岡市笑顔の会を立ち上げました。
療育をする側のお父さんやお母さんの集う場所として懇親会やイベントを開催したり、病院からの依頼を受けて、はじめて障害を持つようになった両親に対してのメンタルフォローなどをしています。

実は、NPO法人福岡市笑顔の会のメンバーの中でも、ドコケアのシステムを使ったら、「この子やご両親は救われるのではないのかな」と思い当たる方が何人かいて、ドコケアを紹介しました。
メンバーもドコケアに興味を持ってくれて、早速登録してくれました。
また依頼者だけでなく、かかりつけ病院の方や顔なじみの訪問看護師さん、障害者支援をしている他のNPO法人の方など、介助者になってくれそうな方ともつながりがあるので、ぜひ紹介したいと思います。

 

身近なところで新型コロナウイルス感染症の影響はありますか

医療的ケア児・重度心身障害児の中には、喉のところに穴を開ける喉頭気管分離術や気管切開術を受けている子がいます。
そのような子は直接的に飛沫感染を受けやすく、感染症にかかるリスクが高いという怖さがあります。

けれどもやはり日常生活に不可欠なお買い物をする必要はあり、私がお買い物に行っている間、息子を一人でお留守番させておくのも心配です。
もしドコケアがあれば、私と息子と介助者さんで車に乗ってスーパーまで行き、息子を店内まで連れていかなくても、車内で介助者さんに子どもを見ていてもらうという利用方法もあるのかなと思います。

気分転換や心理的負担の軽減のためにも外出は必要ですが、外出自粛や感染リスクを極力遠ざける工夫も必要です。ドコケアを活用して工夫していきたいです。

 

新型コロナウイルス感染症が落ち着いたら、どんなおでかけをしたいですか

まずは普通のことなのですが、家族で近くのスーパーや遊園地に行きたいです。
また、障害児がいるから家族で旅行に行けないという感じが嫌なので、年に2回以上は必ず家族旅行に行っています。今まで沖縄、東京、大阪、京都、色々なところに家族で行きました。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大が収まったら、ぜひ遠方にも行きたいです。

 

障害児を介助するドコケア介助者へのアドバイスをお願いします

当たり前のことなのですが、「かわいそう」というような言葉は使わないようにしていただきたいです。
「かわいそうだから助ける」ではなく、一緒に医療的ケア児とのおでかけを楽しんでいただけると、依頼者側の家族としてはとても気持ちがよく安心して依頼できます。

もちろん介助者さんは個人で移動支援をされると思うのですが、ドコケアさんの看板も背負って働くことになるので、変な発言をしないことや、身だしなみ、社会人としての最低限のマナーを守っていただければ、「またお願いしよう」という継続性が生まれると思います。


渡辺さんご自身も障害児のケア経験があり、依頼者の気持ちが分かるドコケアさんとして、福岡を中心に活動してくれようとしていて、とても頼もしいです。
NPO法人福岡市笑顔の会のテーマの「ひとりではない、孤独な育児にならない障害児の子育て」をドコケアのシステムで少しでもお手伝いできたらいいなと思います。

ドコケアでは、障害児・障害者の外出支援にご興味のある方の登録をお待ちしています。